響きアラタ|響きボサノバ教室

大阪市北区のボサノバ教室 講師のブログです

「正しい姿勢」から「自由な構え」へ。『音楽家のためのアレクサンダー・テクニーク 〜心と身体の使い方〜 』

www.seishinshobo.co.jp

本当に効果のある練習の仕方、身体に無理をさせない楽器とのつき合い方、コンサート本番に向けた心身のメンテナンスなど、テクニークをさまざまな場面でどう活用し、実践するかを具体的に記した24章。読者はすぐにでも、自身の演奏にテクニークのアイディアを取り入れることができる。 プロ・アマチュア問わず、音楽を愛し上達を願う、すべての音楽家必携の実践ガイド。素晴らしい音楽は、優れた自分の「使い方」から生まれるのだ。

原書名:The Alexander Technique for Musicians

修正のためのボディワークから演奏のための指針へ

ボディワークの多くは身体が設計通りにちゃんと動くようにボディマッピングを修正したり、関節の位置やねじれを修正する。で、動くようになった身体をどんな風に使えば演奏に役立つ?というのが本書。全方位的なボディワークから一歩踏み出した感じです。

まだ全体を熟読できてませんが、比較的初めの方に出てくる概念をいくつかご紹介します。雰囲気はわかっていただけるのではないでしょうか。また、当教室が標榜している「正しさより自由」にも合致しています。

例1:抑制

(筆者要約)

  • なんかおかしいと思ったら一旦止まりましょう。

これ、文字にするとアホみたいなんですけど大事なことです。「上手くいかない」と思いつつなんとなーく繰り返してませんか?「上手くいかない」たびに止まってたら最初のうちは相当な回数止まることになります。一見ちっとも進まない。でもそれが近道なのです。止まらない道は袋小路。

例2:方向性
  • 楽器を演奏する時は、快適でいられるものだ

という大前提の上で

  • 首を自由にしよう
  • 頭が「前へ上へ」いくように
  • 背中が長くなり広くなるように
  • 両肩がお互いに離れていくようにしよう
  • 両膝は前へ、そして離れていくようにしよう
  • 両足が地面についているのを感じよう

とあります。

ざっくり言うと、縮こまった姿勢はやめて、大きく広がっていくような(方向性)姿勢で演奏しましょうということ。

以下、私なりの補足です。

音や声を出すために身体のどこかを動かすとします。縮こまった姿勢は(演奏のことばかり考えるあまり)支えが弱いので反動で身体や楽器がブレてしまいます。姿勢が固定されていて身体に力が入っているのがそのサイン。次の音を出すために一旦微修正しなければなりません。つまり無駄なアクションが多いし精度も低くなってしまうのです。無意識下では姿勢維持に多くの気力を使っている。

一方、方向性をもって構えていれば姿勢維持にある程度の意識を配分するものの、実際には「いつもの大丈夫な自分」を感じるだけであり演奏に集中できる。身体がぶれないので次の音を予測しながらゆったりと正確に演奏することができる。

といった具合です。

(筆者要約)正しい姿勢はないが、正しい構えはある

のです。私も同意見です。

まずは一般的なボディワークも

本書は身体がちゃんと動くことが前提。なのでうまく動かないところがあるとか全般的に動きがぎこちないなんて場合は、まずは一般的なボディワークで自分の身体と仲良くなることをお勧めします。

他の書籍

上記リンクのAmazonのページにはアレクサンダーテクニークの他の本が一覧で紹介されています。興味ある人にはとても嬉しい感じになっているので一度ご覧になってみてください。

目次

第Ⅰ部 序  論

  1. なぜ音楽家がアレクサンダー・テクニークを使うとよいのか
  2. 本書の使い方
  3. F・M・アレクサンダーの発見したこととその発展

    第Ⅱ部 基本的原則

  4. 学ぶプロセスにおける習慣

  5. プライマリー・コントロール
  6. 抑 制(インヒビション)
  7. 方向性
  8. 注意と気づき

    第Ⅲ部 自分という楽器を調整する

  9. ボディ・マッピング

  10. 呼吸
  11. 視覚

    第Ⅳ部 静寂と動き

  12. セミ・スパイン

  13. 椅子の背に両手を置く
  14. バランス
  15. 動きとエネルギー

    第Ⅴ部 実  践

  16. アレクサンダー・テクニークのレッスンをどう受けるか

  17. 教師と生徒の関係性
  18. コーディネーション
  19. 楽器の技術
  20. よい練習とは

    第Ⅵ部 本  番

  21. 本番にまつわる不安

  22. 迫力ある本番のための準備
  23. アンサンブルの能力を高める