前記事からの続きで今回も「正しい姿勢より自由な構え」に関連するノートです。
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姿勢と構えの章
第IV部「静寂と動き」第15章「バランス」には以下のような項目があります
- バランスか緊張か
- 楽器とバランスをとる
- バランスをとり続ける実験
- 足を通じてバランスを感じよう
- 楽器を持たずに
- 再び楽器を持って
- 表情豊かに動くのは良いことである
- 動きながらバランスをとって座っていること
- 緊張と労力は必要なものである
- バランスはどんな時に必要か
坐骨で座るのは自由な動きのため
「再び楽器を持って」節の中にある「座っている状態の骨格」の図にはこのような注釈があります
バランスを取って座ることもできる
私たちは、バランスをとり続けているならば、坐骨の上でバランスを取り、股関節から動くことができる(強調筆者)。股関節を固くしない限り、脚もまた柔軟な支えの一部である。
坐骨で座るのは股関節を使えるようにするためだったのです。しっかりどっしり座るためではなかったのです。それとは正反対、動きやすさのための敢えての不安定、やじろべえだったのです。
「坐骨で座る」って言われてもよく分かりませんが、「股関節が使える座り方」なら分かります。動かしてみればいいんだから。なるほど、どっちにも動けるように坐骨という「とんがった骨」の先で座るということだったのか。
お作法から構えへ
今まで数々の書籍やレッスンで「坐骨で座る」ことを強調されましたが、いずれもその理由は「体がそのようになっており、坐骨で座ることが正しいから」というものでした。しかしどうでしょう、ここではその理由が明確に示されているのです。
すぐ後の節の「動きながらバランスをとって座っていること」にこうあります
- 椅子に座っているのが不快になった時は──動こう!
- 私たちは往々にして、動いている時、心地よいものである
- わずかに前に傾斜している椅子に楽に座っている方が快適だと感じる音楽家も多い
そうです、股関節で座るのは「自由」のためだったのです。
まとめます。
- いつでも股関節を動かして自由に動けるように坐骨で座りましょう
- 演奏していて何か嫌な感じがしたら動きましょう
- 動いている時は総じて気持ちいいです
- 動きながら気持ちよく演奏しましょう
身体の厚みを実感する
また同じ注釈にこうあります
環椎後頭関節(AO関節)から腰椎、股関節を通る、図の中の一本の垂直な線について考えてみると、この中心線の前後に広がる身体の奥行きの感覚を養っていくことができるだろう。
発達障害があると(人それぞれ程度の差はあれ100%の発達はしていません)視覚が優先となり、見えないものが分かりにくくなります。目で見えるところだけを自分の身体と認識してしまうため、自分の身体を厚みのない2次元(!)のペラペラのものとして操作しようとしてしまう可能性があります。
しかしこの注釈が何らかの経験に裏打ちされているとすれば、我々はじっと座ってイメージを描くことによって身体の厚みを取り戻すことができる。なんという福音!