ライブで鍛えていくバンド
この人たち、「しっかり手間をかけた音源が完成形=最高で、そのCDやダウンロード販売の音源を売るためにプロモーションでライブして回ってる」んじゃないんです。ライブに来てもらうために音源を発売して、ライブでお客さんの反応を見ながら曲を完成させる、という方法論なんです。アメリカでテレビに出たのだって、表面的にはニューアルバムのプロモーションですが、実質的にはアメリカツアーのプロモーションだったりします。
世界でブレイクするきっかけになった動画"Gimme Chocolate"の場合
がこちら。
一年半ほど前にギターの先生に見せたら、今にもそっと閉じそうな勢いでしたが、最後まで見てくれました。ありがとうございます。ひょっとしたらその後見てないと思います。
当時は生バンドでやりだして間がない頃でした。プロデューサーは、当時のインタビューで
サマソニにメタリカくるんだったら生バンドにしなきゃ。でも、コンセプトに賛同してくれる人、つまり、アイドルのバックで白塗りをして、メタルがバリバリに出来る人を探すのは大変だった
最初は怒られて始めようと思った。
と言っています。
それから2年後。今年の4月、ニューアルバム発売とほぼ同時のタイミングでアメリカのテレビに出演したときの模様がこちら。
BABYMETAL - Gimme Chocolate!! (The Late Show with Stephen Colbert)
このチームがいかにライブで鍛えられていってるか、伝わったでしょうか。2年前とまったく勢いというか、覚悟が違うのは分かってもらえると思います。これを見て「凄い!」とか「楽しい!」とか「かわいい!」とか、興味を持った人は多数いたみたいで、一年くらい前には上記の公式MVが2500万再生おめでとう!と言っていたのに、あれよあれよと5000万回を超えました。
すくなくとも「なんじゃこりゃ、ちょっと調べてみるか」とは思わせたわけです。
直前のタモリさん司会の「歌番組」での演奏がもひとつ煮え切らない感じだっただけに、ファンとしても想像以上の出来でした。
(蛇足ながら、ライブバンドにとって、演奏前の「神聖な時間」にインタビュー応じなきゃいけない時間があって「いやーすごいですねー、それでは、どうぞっ!」って言って一曲だけでバッチリ決めて下さいなんていうのは嬉しいけどつらいです。しかも、かなり配慮はあったとは言え、通常よりもはるかに明るい照明でボーカル最優先のミックスで。なんというか、日本のテレビは「芸能人がテレビに出演させていただく」世界なんだなと思います。さらにちなみに、BABYMETALが日本のテレビに取り上げられて来なかったのは、私の見立てでは、アイドルとして考えた場合、ガチすぎてコマーシャルで使えないから。そんな「タレント」にスポットを当てるのはスポンサーにとって意味がありません。)
いままで唯一コマーシャルにでたのはこれ。
(ドコモのCMで結衣ちゃんと最愛ちゃんが天使になってるやつ。イチローと一緒に出演)
しかしながら、「想像以上の出来でやってくる」のはファンにとっては想定内。とっても嬉しいいつものこと。
セカンドアルバムで更なる進化はあったのか?―――"Karate"の場合
一方、ニューアルバム"Metal Resistance"から先行シングルカット的にリリースされた"Karete"という曲のオフィシャルMVがこちら。 2年前に出したファーストアルバムの出来があまりに良かったため、次はどうするの?また何か変なひねりを考えてるんでしょ?セカンドなんて無理無理無理!という期待と不安に対して、「ざっけんじゃねー」とばかりに正面突破を試みたんだな、というのがよく分かります。好みは別として。
この曲、ものすごく格好いいリフだけど、全体としてはアイドル臭いですよね、Karateっていう題もいかにもですよね。
「ほんとうの敵は自分だ」っていうメッセージはちょっといい感じ?子供たちが言うと臭くないかも。
うーん、でもまあ、やればできるレベルだよね。手間ヒマかかってるし。
この曲、ライブでやって間が持つの?的な心配はご無用です。最初に言ったように、この人たちはライブが完成形。CDよりもライブのほうが圧倒的に良いのです。
うーん、でもライブでどうするのこれ?バックバンドの格好良さだけ目立っちゃうんじゃないの?
ではここで公式MVとライブの違いを見てください。
先日のニューヨークでのライブで同じ曲をやったのがこちら。出だしのワンコーラスだけ見てください。
Babymetal - Karate - 2016-05-04 - Playstation Theater - New York, NY - YouTube
「やっぱギミックだね」と思うかもしれません。でも、へー、こうなるんだ。なるほどライブバンドなんだ、って感じは分かってもらえるでしょうか。格好いいと思う人がいても間違ってはいないでしょ。
アメリカのお客さんは、ヨーロッパに比べてエンターテイメント志向が強くて、それでも単に盛り上がってるだけではない感じ、感じませんか。なんかコミットしてる感じ。
あの白々しいブレイクがなー、と思ったあなた。私も最初はそう思いました。でもここ、ライブのためにわざと空けてあったんです。シンガロングのために空けてあったんです。
ブレイクがどうなったのか、見てください。観客の反応込みで作曲してます。
Phil Spencerさんありがとう。アミューズさん消さないでお願い!
https://www.youtube.com/channel/UC341IzrbTLRgFE2lgKPn9kg
ふつうなかなかここまで出来ないです。ただしここまでは想定内。
「こうなったら凄いよねー」っていうことを今までどんどん現実にしてきたBABYMETAL。いつも驚かされてばかりです。驚くことに慣れてしまうくらい。
そんなBABYMETALファンの想像を超えるのはここからです。
コール&レスポンスのところを切り取ったのがこちら。
BABYMETAL - KARATE Live [4K] in NYC PS Theater May 4th 2016 ( Su Crowd Interaction Part) - YouTube
とうとう、SU-METALがあっちがわに行く日が来たようです。本当にロックスターに向かって一歩を踏み出してしまった。
272: 2016/05/05(木) 19:35:11.78 How're you feeling tonight? How're you feeling tonight New York? Let us hear your voice, Please, we want to hear your voice. 277: 2016/05/05(木) 19:36:09.72 「今どんな気分ね?」 「どんなんか聞いとるじゃろNY!」 「お前らの声ウチに聞かせんさいや」 「聞かせぇ言うとるじゃろうが!」
みんな、色んな人生送ってるんだな。うおーって本気で言いたいことあるよな。この時をまってたんだね。正直、泣いちゃったわ。ボロボロ泣いちゃったわ。
BABYMETAL 一夜明けて絶賛の嵐! - 終末を疾うに過ぎて...☆NEWYORK
その異邦人、あるいは、異端者が、人々の誇りを代弁できるか、ということなのだ。
俺達に、新たなアイコンが現れた、ということだ。
人類に幸せを運ぶ、世界一キュートな天使たち、まさに世界のアイドルなのである。
「世界を一つにしたい」はどうやら本気のようです。